雑貨屋さんのPOP「手書きか否か?それが問題だ」 #

店頭POP雑貨あれこれ

「POPは手書きがあたりまえでしょ」と彼女

ある企業(非物販)の雑貨店開業準備の会議。近々、はじめての物販事業である生活雑貨ショップをオープンする予定です。

その店舗計画もほぼ決定し、今日の会議はPOPの内容とその制作方法がテーマ。

*POP= point of purchase(購買時広告)。
ショーカード、店内ポスター。プライスカード、お知らせポスターなども含める

趣味性の高い(こだわりの)生活雑貨を扱うことから、店長はじめ各スタッフの思い入れは強いのです。

比較的詳しい説明を必要とする商品が多い為、細かな商品説明のPOPをすべての商品に添付することになりました。

その制作方法の話し合いの場面でこんなやりとりが。

雑貨は手書きの説明カードがあたりまえでしょ!

POPって作文でしょ。苦手なんですぅ

字が汚いのでパソコンでやりたい〜

等々、同世代の女性ばかりのせいか遠慮のない意見が交わされました。

過去に勤めていた小さな雑貨店での経験を基に意見を出す人、
客として通っている有名雑貨店を手本とした意見を出す人、
みんなそれなりの理由があっての意見だけど、なかなかまとまりません。
結局、当日は最終的な決定には至りませんでした。

セルフサービス(チョイス)で販売する雑貨ショップにとって価格提示、商品説明を中心とした“接客”をスタッフに代わって行ってくれる大切な役割のPOP。雑貨ショップでは、どう制作、表現するべきでしょうか。

いろんな方法とレベル

残念ながら、雑貨、ライフスタイル店のPOPは玉石混交です。様々なレベルの手書(描)き表現、パソコンを使用したもの、写真等を使いビジュアルに工夫したものなど表現の違いがあるし、同一店でもコーナーや担当者によって表現方法や文章力の違いがあって、100の雑貨ショップに300の表現方法があると言ってもよいでしょう。

まず守るべきは最低限のルール

店頭のたった1枚のPOPであっても、れっきとした公の広告です。その表現や提示方法には最低限のルール=規制が存在するのです。

広告としてうそや誤解を招く表現がいけないことは言うまでもありませんが、加えて各商品別の関連規制に抵触しないこと、著作権侵害をしないことなどが第一のルール。

例として、根拠のない効能(効き目)をうたう、実績のない二重価格の表示、無許可の他者著作物(写真、イラスト他)の利用等。

第二にお客様にとっての読みやすさ、わかりやすさに配慮するべきです。

パソコンでは読みやすい大きさ、スタイルの書体(フォント)を選ぶ。

手書きの場合は上手下手以前にわかりやすい書き方が鉄則。
価格の“8”と“3”、“1”と“7”がわかりにくい手書き数字などは論外ですね。

その文章、表記の内容は、価格、生産国、使い方、素材、サイズ、メーカー、ブランド、商品の背景(うんちく)などを中心とし、自店のお客様により強く訴えるセールスポイントを中心に提示することが基本です。

苦労して長文、名文(迷文?)をひねりださなくとも、簡単明瞭に箇条書きでポイントを列記するだけでもよいでしょう。こだわりの名文よりも、短い時間でお客様に読んで理解してもらうことができて、かえって効果的な場合が多いのです。

作業効率と統一感

POPの検討、計画段階では気づかないことが多いのが、その制作の作業効率(手間)や最終的な店頭での統一感。

1枚のショーカードの制作に1時間もかけられないだろうし、人によって書き方や表現、文体があからさまに違うことも避けたいことです。

使用するカードの素材、サイズ、パターンや筆記具、色等を揃えることから統一感は生まれます。

商品、コンセプトに合うこと

商品やショップに相応しい表現、内容であることももちろん大切です。

「和」の生活を提唱するショップのPOPに蛍光インクが使われていたり、モダンスタイルの商品に和風な筆文字書体のPOPが添えられている事は違和感を覚えます。知的なデザインで高級な商品に添えられた文章が誤字、脱字だらけでは、商品の魅力を大きく損なうでしょう。

POPは紙の色や質感、ワープロの書体、手書き文字の雰囲気、文体までもが、商品をさらに魅力的に演出するものでなければならないのです。

たった1枚の小さなPOPの表現、1行の文章。だけど、そこからショップ全体のコンセプトやテーマ、扱い商品の魅力が感じ取れることが大切です。

メールマガジン配信済み06/30 NO.892910

senkenshinbun 執筆文章に加筆修正。

富本雅人

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